朝倉かすみさん

またまた出あってしまいました。
素敵な作家さんです。
短編小説をいくつか発表しておられる作家さんで、最近エッセイも出してみえます。


実は、経歴を読んでビックリしてしまいました。なんと40歳から小説を書き始めたというのですから。
最近、すごく若くして大きな文学賞をとる傾向が続いていますが、そんなにあわてて若い人に賞を授与しなくてもいいと思います。
ここで悪口を言いたくないですが(言いますが)、数年前にダブルで10代の女性が受賞したのを覚えておられますか?
あれは、どこをどう読んだらそれまでの受賞作品に並ぶような力量があったといえるのか、ド素人の私には全く理解できません。
もっとも、あのふたりの若い作家に文句が言いたいんじゃなくて、それを選んだ選考委員の人に対して、文句があるんですけどね。


ああいう作品を「10代のみずみずしい才能」というのか、そりゃあわかりませんが、ちょっとがっかりしたのを覚えています。


それに引き換え、浅倉さんの作品は、読んでいて安心感があります。でもって全然年齢を感じさせない瑞々しい感性が光ります。
くすぐったいような、痒いような、ちょっと酸っぱいような、ほろ苦いような。
「この感じ、わかるっ」


たまたま読んだ短編には、目立たない器量のよくない女の子が主人公になっていています。
例えば、密かに器量よしの子を心の中で貶めていたり、自分と同レベルの器量・スタイルの悪い人の中でしのぎを削りあったり・・・・異性に振り向かれない人生を妙にリアルに再現して見せてくれます。
そういえば、最近の若い女の子って、おおむね「可愛い」の部類に入る人が殆どですよね。
美と醜の格差の溝が埋まってきたと感じています。
一昔前(30年前)は、美人な子と、そうでない子の格差がもっと明確にありました。
浅倉さんは、ちょうど私と同年代。
つまり、美醜の格差社会が今よりもっと酷かった時代を経験した人です。
だから、すごく共感できるのです。


是非、30代以上の大人の女性に読んでほしい作家さんです。