またまた小川洋子さん

やっぱり小川洋子さんの作品は、奥が深いです。
私は速読とは言いませんが、本を読むスピードは速い方だと思います。
だから、小川さんの作品を読むときには、心してゆっくり読むようにしています。
さーっと読んでしまっては、もったいなくて・・・。


昨日読んだのは「まぶた」という小品集でした。
小川さんの作品の中に時々登場する人たちや、場所や状況などのモチーフが、ちょこっと見え隠れしていて、こういうのを「小川ワールド」っていうんだろうなと思いました。


小川ワールドでは、一年の大半は秋から冬くらいの気温です(私の勝手な想像ですが)。汗がじっとりとにじみ出てくる湿度と温度の高いモンスーン気候の夏は、小川さんの世界には合いません。
慎ましいけど、なぜか妙なところで贅沢。決してジャンクフードをがつがつ食べる人は主人公にはなれません。ふかし芋に塩とバターだけという食卓でも、きちんとランチョンマットが使われていて、ナイフとフォークと大き目のゴブレットになみなみとミネラルウォーターがセットされた食卓(私の勝手な想像です)で、上品に食べる人しか、主人公はおろか、端役にさえなれる資格はありません(くどいですが、私の想像です)。


本当は、一気にガツガツ読みたいのですが、後ろ髪引かれる思いで、途中で本を閉じました。
一度でいいからお会いしてみたい作家さんです。
上品を絵に描いたような人なんでしょう、きっと。