海鼠点

上記の海鼠という漢字は「ナマコ」と読むそうです。
酢の物などで頂く、コリコリした食感のナマコは、通にはたまらない珍味の一つなんでしょう。(私は、それほど好きではありませんが・・・・)


さて、数日前、台所で食事の後片付けをしていると、食卓から息子たちの会話の断片が耳に入ってきました。
「・・・それで、海鼠点がさあ・・・・すごく大変で・・・・高校の・・・」
すごく意外な取り合わせに驚いて思わず聞き耳を立ててしばらく聴いておりました。
時代小説とかには時々「海鼠壁」なる単語を目にすることがあります。
漆喰と瓦で土蔵の外壁を塗る技法らしいです。
海鼠瓦・海鼠漆喰などもなんとなくおぼろに聴いたことがありますが、海鼠点とは一体何のことだろう。
しかも、話しているのは、時代劇にはまったく興味も関心も無いイマドキの中学生と高校生なんですけど。


ここでピンときたあなたは、かなり勘が冴えている人です。
中高校生が話す海鼠点をカタカナに変換してみます。
「ナマコテン」



もうお分かりですか?
「生古典」だったのです。
注釈や語訳がつかない、素の古典のことを「生古典」と言い表していたのでした。
漢文で言ったら、「白文」といったところでしょうか。
息子Aが息子Bに、高校生になったら、古典が「生古典」になるから、授業が大変だというようなことを言って脅していたのでした。



いやいや、謎がとけて、少し安心しました。
「生古典」、いかにも古典が苦手な兄弟二人がつけそうな、やけにぴったりした命名だと、妙に感心してしまいました。