森見登美彦さん

「きつねのはなし」という小説を読みました。
とっても奇妙な話です。
四つの独立した短編が入ったものですが、すべての作品が絶妙につながっているような読後感が残ります。

一つの糸を手繰っていくと、実はすごく長い糸で、いろんなところで分岐したり複雑にもつれ合ったりしていてとてつもない出口までつれて行かれてしまうみたいな感覚。
森見さんが「果実の中の龍」という作品の中で、もっと上手にそんな感覚を表現していました。

京都が舞台ですが、なんとなくこの小説に描かれているような異界と通ずる境界線というか、結界というか、そういう不思議なスポットが存在してもおかしくないかも、という気持ちになってきます。

各作品とも、登場人物は別人という設定になっていますが、読者は勝手な想像で
「あの話の、あの人のことだよねぇ」
と小説に描かれている以上の脚色をつけながら読み進めることが出来ます。

是非一読してみてください。