恋愛写真

大学生が主人公の恋愛小説です。
恋愛といっても、ものすごくピュアーな恋愛小説で、どれくらいピュアーかというと、『風たちぬ』のふたりみたいな関係を思ってみてください。ちょうどあんな感じ。


18歳か19歳で、世の中、それほど恋愛の達人はいないでしょう。
おずおずとぎこちなく友達になり、友情を深めて、でも恋心は捨てられなくて、悩む・・・というのが、この本に出てくる大学生たちです。
すごく等身大な大学生で、とても好感が持てました。


ラストがまたすごくいいんだわ。
本当のことを言うと、最後に作者さんが使った手法は、「これって他の作家が何度も使っている手口だなぁ・・・」と、ちらっと頭の中で思いましたが、それでも涙がこぼれてしまいました。


本の最後に、「映画化された」というようなことが書いてありました。
読んでいて、勝手に映像が次から次へと頭に浮かんでくるほどでしたから、「さもありなん」と思いました。
単純だとか簡素だとかいう意味ではありません。
自分の大学時代のときの風景がふっと脳裏に浮かびあがってくる感じ。
だから、読む人によって、お洒落なカレッジライフを思い浮かべる人もいるでしょうし、私のように冴えない女子大生活を懐かしむ人がいるかもしれません。


いずれにしても、久々にピュアーな恋愛小説にめぐり合えたという感想です。