H君の遅刻理由

このあいだ、授業の空き時間に職員室におりましたら(二限目の途中くらいの時間)、私の担当する三年生の一人の男子がひょっこり現れました。
「どうしたの?」
「遅刻なんで・・・・書類を書いてもらいに着ました」
ここの高校では、遅刻したら職員室で『遅刻理由カルテ』みたいなものに登校時刻と遅刻理由とを書き込んでもらい、生徒はそれを持って教室に入るというシステムになっているのでした。教室では、その担当教科の先生が、そのカルテに入室時刻とサインをして、担任に戻すというものです。


Hくんは、遅刻の常習犯で、すでに六月あたまの段階で、10回以上の遅刻がありました。
かれの遅刻理由というのが、すべて「寝坊」。


「ねえ、H君、もうちょっと気の利いた遅刻理由って思いつかないのかい?」
「いえ、どうせ嘘を書いてもすぐにばれちゃうから・・・・」
「へえ、そうなんだ。随分と素直なんだねえ」
「いえ、そんなわけじゃないですが」


私がカルテに登校時刻と理由を書きこんで渡すと、ものすごく平然としたようすで教室へと向かったのでした。


そういえば、息子Aが高校時代に遅刻に関して、こんな話を聞きました。
「うちの高校は、遅刻を一ヶ月に三回すると、父兄呼び出しになるから、生徒は親の負担を考えて、三回目に遅刻しそうになった時には『欠席』することにするんだ」


たまたまうちの息子Aは遅刻は三年間で数回ですみましたので、呼び出されたことはありませんが・・・
息子Aが遅刻するときのパターンは、電車に座って行きたいがために、わざわざ普通電車に乗って通学し、うとうと居眠りをして名古屋を通過し、どこか聞いたこともないような馴染みの薄い無人駅あたりで目覚めて遅刻するというものでした。
唯一の救いは、名鉄ですから、せいぜい岐阜県あたりで折り返します。被害が少なくてすむということでしょうか。これがJRだったら、気付いたら大阪だった・・・みたいなことも起こりそうです。こわすぎる!


それにしてもH君は、このペースで遅刻を続けたら、あの遅刻カルテがビッシリ埋まってしまうことは間違いない。そしたら二枚目に突入するのか?それとも、何か手痛い罰則(留年とか・・・・)が待っているのか?
飄々とした様子で教室に向かうH君の後姿を見ながら、ちょっと心配になってきたナンチャッテでした。