徹底した追跡

高校で仕事を始めて、早くも半年経ちました。
勤め先の高校で、心底「恐れ入りました〜」と感じることが一つあります。
それは、宿題の未提出者に対する、徹底した追跡を行うこと。


三連休以上の休みが続くと、学年で統一の宿題が出されます。
例えば、国語だった、漢字練習長15ページ分程度と、漢文・古文のプリント数枚程度。これらは全て目前に迫った中間テストのテスト範囲に当ります。
ちなみに、漢字練習帳などの、ある程度かさのある内容の宿題については、前もって(年間スケジュールとして)生徒に伝達してあります。


連休明けに、それらの提出物が私の職員室の机の上に「どっさり」のせられているのを見るのはうんざりしますが、とりあえず、「みんな頑張ってやってくれた」証しとして、それはそれで嬉しい。


私は、それをいちいち中身をチェック(本当にやってあるかどうかを調べる)して、自分の名簿に記します。時々、真ん中の数ページが飛ばしてある不届き者もいるもんですから。その後、学年全員の名簿が載った「未提出者リスト」の名簿に未提出の生徒の名前に×をうちます。

さあ、ここから脅威の追撃が始まります。
生徒から遅れて宿題が提出されたら、その度ごとに「未提出者リスト」の×を消していきます。学年主任の先生がそのリストを管理しています。
例えば私の出勤しない曜日(水曜日)に提出してきた生徒の分を、木曜日の朝までにチェックしていなかったりすると、すぐにこんな質問をされることになります。
「○○先生、生徒の▽□が、昨日宿題を出したといっているのですが、先生のところに届いていますか?」
「あっ、すみません。昨日は出勤していなかったもんですから、まだリストが更新してないんです」
ね?恐るべき追跡力でしょ?


それで納得しました。
三年生の生徒の提出物の提出率の高さと言ったら!
ほぼ一発で100パーセントの提出率です。
入学した時から、こういう攻撃・・・じゃなくて追跡をされたら、嫌でも身につくようになりますよね。
最後の最後の最後の・・・・・まで「まだ出してないぞ」といわれ続けるわけですから。
ここでは「逃げ得」存在しません。


ちょっと怖いけど、この忍耐力と執念深さは、生徒の怠惰心をも変えてしまうのです。愚公移山じゃなくて、執念変心(執念深いまでの、宿題未提出生徒への追跡は、生徒の怠け心すら変える力があるの意味)です。


中学の先生に足りなかったのは、この執念でした。
中学のある一部の生徒たちは、一度でも「逃げ得」の味をしめたら、絶対に宿題なんか出さないよね。
これを徹底してやるには、学年の先生全員の協力と、未提出者追跡係担当の先生の執念とが不可欠です。


こういうのが、ある意味で「本当の教育」なのかもしれません。