高校最後の現代国語の教材とは・・・

卒業と同時に就職する高校三年生は、この時期になると、早くも4月スタートの準備として、企業から「説明会」なるものが開かれるようです。出席簿に「公欠」マークが並びます。
あと、数ヵ月後には、この子達が社会人になるのかと思うと、ちょっとした感慨を覚えます。

再来週には学年末テストがあって、そのあとの数週間は教科書を使っても良し、使わなくてもよし、といわれているので、私としては「使わない方向で」と思っています。

ですから、今やっている単元が、この人たちの高校生最後の現代国語の単元になるわけです。
それを思うと、身が引き締まる思い。


ちょっと自慢めいてしまいますが、「こころ」について。
二学期の終わりに、三年生に感想文を書いてもらい、私はゆっくり冬休みにそれを読ませてもらいました。
文豪夏目漱石さんの作品なので、もちろんよい感想文が書かれるとは思っていましたが、それにしても、結構読み応えのある・・・・というか、斬新な切り口の感想が書かれておりました。


彼らも大人ですし・・・・かなりのリップサービスはあるとしても、半数以上の生徒が、「高校現代国語の教科書の中で一番面白い作品だった」と書いてくれていたことは、教師冥利につきる誉め言葉でした。


今回扱う単元は「脳死」という重たいテーマなんだけど、今この時期にこのテーマを扱うことの意味は大きいと思います。
あと数ヶ月で自動車免許を取得する生徒たちも多い中、縁起の悪い話で嫌なんだけど、交通事故に遭う卒業生が出てくると思うんだわ。

アメリカにいたときは、免許証を取得するとき、漏れなくドナーカードも付いてきて、臓器移植の意思を聞かれました。
日本でもドナーカードがあることをご存知ですよね。
で、脳死について、考えるとってもいい機会だと思うからです。
1992年に臨時脳死及び臓器移植調査会が「脳死は人の死」と認めたのだそうです。調査会の決定を受けて、数日後に朝日新聞に載せられた文章を読んでいます。


「こころ」のときもそうだったけれど、「これが正解」というのがない事柄について、自分なりの意見を持ち、自分とは違う人の考えを聞くことの楽しさ、みたいなものが、やっと判りかけてくれたような気がします。
この状態からあと一年くらい現代国語をやらせてもえらたら、もっと面白いだろうに・・・・