デビ婦人

三年生女子クラスでは、授業時間の10分か15分程度を使って「お嬢さまことば速修講座」というテキストを抜粋して紹介しています。
本の内容については、いずれまたご紹介します。


最初、3年生にこの本のことを紹介したときの反応・・・・
「えーーーー、そんなん、うちらに全然関係ないじゃん」
でした。
実は、このクラスは、商業科選択のクラスなので、大半の生徒は、高校卒業と同時に就職します。
私が思うに、一旦社会に出てしまえば、人ってその人の見た目で判断しますよね。
言葉遣いとか、仕草とか、持ち物とか、服装とか・・・・
で、彼女たちには、社会に出てから、ことば使いで損してほしくないわけ。
とにかく、すんごく性格のよい生徒たちばかりなので、愛着度も高いのです。


そこで、私は断言しました。
「うんにゃ。うちらに関係ないなんてことは絶対にありませんっっ。あのデビ婦人だって、水商売の世界から、大統領夫人にまで上り詰めたわけだし、妃殿下の紀子様だって、もともとは官舎から宮殿にお輿入れされておられるのです。女は、ことば使い一つで無限の高みに登れることがあるかもしれませんっっ」
ここで驚いたのは、彼女たちが、デビ婦人は外人だと思っていたことでした。
「どうりで、日本語が上手だと思った〜」との反応に、私の方が驚きでした。


さて、私の力説が伝わったのか、彼女たち、けっこう気合を入れてメモしたり、リピートしたりしてくれています。
「恐れいります」
「私は存じませんが」
「さようでございますか」
「ありがとう存じます」
など。


先日、ホームルーム担任が、
「最近、生徒たちの言葉遣いが異常によくなってきたので、どうしたのかと聞いたら、今、促成栽培でお嬢様になっているところだという話を聞きました。『恐れ入ります』といって、テストを受け取る生徒が続出でしたよ〜」


頑張ってるじゃん。
そうそう、その調子。最初は気恥ずかしくても、クラス全員でやれば慣れてきます。慣れてしまえばこっちのもの。そのうちに、「恐れ入ります」が普通に使いこなせるようになることでしょう。
頑張れ〜、女子クラス。