ポリティコン読破

桐野夏生さんのポリティコン上下を昨日読み終えました。
昨日・今日と公立高校の入試ため授業がなく、しかもあの寒さ。とても外にでる気はしなくて、家で冬ごもり生活をしました。
唯一の想定外は、灯油が残り少なくなってしまい、日中はストーブを微弱燃焼にして、久しぶりに湯たんぽを抱きました。


読書三昧する日には、こんな状況は悪くはありません。


ポリティコンのストーリー。
明治時代に農業を軸としてた共同体が幾つか生まれていますが、それが平成の時代にも生き残っているという設定からスタートします。
そういえば、高校の社会の教科書でも、そのような実験的「ユートピア」が各地に誕生したという記載がありました。
あれって、ひょっとしたら、まだ日本の何処かに息づいているのかなぁ?


で、舞台の名まえはトルストイの『イワンの馬鹿』からとらりたイワン村とい
います。
かつては、コミュニティーとして機能して、村外からも資金的な援助をする人たちもいて、芸術家が日本中から集いますが、現在では人口30人以下の小さな集落となり、高齢化も進んで随分と大変な状況になっています。


そこに唯一残った若者の奮闘と、イワン村を取り巻く環境と人間関係が言いようもなくどろどろと重く描かれています。
一言でいうと「疲れた〜」という読後感。
高浪東一というのが主人公。
よく働くし、村の将来について真面目に考えている唯一の村民です。
ところが、東一には抱えきれないほどの野心と虚栄と性欲があって、ものすごく嫌なタイプの人間なんです・・・・というか、あの話の中に出てくる人で「良い人」とか「爽やかな人」とか「愛情を持った人」が一人もいない。
みんな七癖どころか八癖も九癖もある、煮ても焼いても食えない人たちばかり。とにかく自分が大好きという人しか登場しません。
比重の関係で、主人公の東一が良い人として浮かんでくるくらい癖のある人たちの集合体なんです。


この本も、勤め先の図書室で借りました。前に登場した図書室担当の先生が大賞賛していた本です。
確かに日本の農業の問題点を抉り出すという点では興味深い話です。
が、なにしろ人間関係の比重が・・・・重たいっす。