哲学のモノサシ

西研さんの『哲学のモノサシ』
これが面白くて、思わず二回も読んでしまいました。
哲学が面白い・・・・?と思われたでしょう。
私も、哲学なんて、自分から進んで読みたいと思うことはなかったと思いますが、高校二年生の現代文の教材に、西さんの文章が抜粋させており、ちょっとした興味本位で読んでみたのです。

西さんは偉いっ。
ものすごく判りやすい表現で、人の興味をかき立てられる内容にして、哲学を初心者に紹介している学者さんです。
「哲学って敷居が高くて、辛気臭くて、あまり日常生活には役に立たなくて、難しい学問じゃなかったんだ〜」


ものごとの根本を突き詰めて考えるのが哲学・・・ということらしいのですが、この本を読んで、ふと思い当たることがありました。
西さんも、こんな指摘をしていました。
常識にとらわれていなかった幼い頃に抱いた疑問には、意外と哲学に通じる深い問がある、と。
小学校のとき、理科の授業で、
「四月になると、キャベツ畑にはたくさんのモンシロチョウが飛んでいます」
という説明があって、親チョウがキャベツの葉の上に卵を産みつけ、やがてアオムシになり、何度も脱皮して、蛹になり、チョウになる、という図が載っていました。
そのチョウが再びキャベツ畑でたまごを生んで、また卵からアオムシになって・・・・というサイクルが続くというものでした。
私は、その時、
「じゃあ、一番最初のチョウは、どこから来たのだ?」
というまさしく哲学でいう「根本」の疑問が、小さな心に浮かんだのでした。


息子Bに、「哲学のモノサシ」の本に紹介されていた幾つかの、「根本」を突き詰めるとは・・・の話をしましたら、
「自分も、小さい頃、モノゴトの始まりについていろいろ考えた時期があった」と言うのです。


そうだよね〜
学習して社会生活に適応してゆくのは勿論大切。
でも、常識にとらわれると、ものごとの根本を突き詰めて考えるということをしなくなりますよね。


川村易さんの挿絵が、これまた魅力的。
『哲学の絵本』といってもいいくらい。
是非、いちどチャンスがあったら読んでみてください。