原田マハさん

カフー待ちわびて」を数年前に読んで以来、原田マハさんの作品は、今日読んだ「まぐだら屋のまりあ」で二冊目となります。
カフーのときもそうでしたが、登場人物は、いずれも「自分なんか、愛される価値もない人間なんだ」とか「生きている価値もない人なんだ」的な悲観的な思い込みを持つタイプの人が取りあげられています。


今回の主人公シモンも、同僚の自死を、自分のせいだと思いこんで負い目を感じ続けている人なんだけど、これはシモン君のせいじゃないでしょ・・・と思いながらも、ついついストーリーに引き込まれてしまいました。
ちょっと設定(そこ、そんなに引け目に感じるところ?)に無理があるかも、という感想と、それを上回る登場人物たちの人間関係と、キャラクターの魅力がおもしろいです。


まぐだら屋のマリアですから、どうしたって聖書を下敷きにした話を連想しますよね。マリア・シモン・マルコ・ヨハネに漁師さん、カナン(地名?)、他にもひょっとしたら気付かなかった聖書絡みの名前があったかもしれませんが、物語の舞台は、山陰地方のどこかという設定でした。まぐだら屋は小さなレストランです。

癒しと許しのお話です。後味か悪く無いのがいい。
食べ物の描写は、とても素晴らしい。
ナンチャッテは昔から、食べ物の描写のあるお話を読むのが大好きです。
前にも紹介しましたが、「喋々喃々」に出てきた食事シーンは、ここ数年の読書歴の中での白眉でした。


先週日曜日にNHK教育テレビでみた「日曜美術館」のゲストが原田マハさんだったので、急に彼女の作品が読みたくなって借りてきたのでした。彼女は、今、東京で展覧会をやっている『貴婦人と一角獣』にちなんだ作品を書いているそうです(もうリリースしたのか?)。
貴婦人と一角獣」については、その由来や、六枚の絵の意味の謎についても説明があって、興味深かったです。タペストリーも、実際に見てみたいなあ。
東京に住んでる人は、本当に恵まれていますね・・・