岸恵子さんの本

先日、今、話題の「わりなき恋」を読みました。
昭和の大女優岸恵子さんを、ひょっとしたら若い世代の方はご存知ないかもしれませんが、ナンチャッテ世代以上の人なら、彼女の圧倒的な存在感を知らない人はいないでしょう。
彼女が、ちょっとでもドラマに登場すると、すうっと画面が引き締まり、ただならぬ上品さが醸し出されたものです。


単身パリへ渡られて、フランス人のご主人(映画監督さんだったっけ?)と結婚され、離婚もされました。当然フランス語も堪能ですし、何冊か国際的な視野から見たエッセイも書かれていたはず。


その彼女が、「わりなき恋」なんていう小説を書いていることに、すんごいショックを受けています。
小説ですからもちろんフィクションなんでしょうけれど、少し読めば、岸さんご自身の半生を下敷きにして書かれているであろう事は、簡単に推測できてしまうのですよ。
ヒロイン70歳は、フランス人の夫と死別して40年間近く孤閨を守り(時にはアバンチュールもあったようですが)、その間に一人娘を育て、自分は日本とヨーロッパをまたにかけて国際的に名をはせる仕事をこなしている、という設定です。
そのヒロインが、成田発パリ行きの飛行機のファーストクラスで10歳以上年下の男性と出会い、恋に落ちるというのです。
そいでもって、また、この男性の経歴が凄すぎる。
私は勝手に何となくパナソニックを想像しながら読んでいたんだけど、とにかく日本でも有数の電器機器の会社の専務ってことになっています。(のちに、副社長に昇進)


住んでいる家(フランスの家と横浜の家)や庭の描写や、乗っている車や、お手伝いさんが当たり前のようにいたり、相手は箱根に別荘を建てているところだったり、二人が出会う場所がプラハだったりパリだったり上海だったり・・・・本当の資産家の方は、こういうお金の使い方をそれるのねえ・・・と、このように裕福な老人の恋の顛末が描かれています。


読みすすめていけばいくほど、このヒロインは岸さんよね?思わずにはいられない。


そう思うと、この小説は、半端なく、もんのすごっく、赤裸々というか、生々しいのですよ。
どこがそんなに生々しいか?
いや、ここで紹介できるほど、ナンチャッテには勇気がありません。
興味のある方は、ぜひ一度「わりなき恋」をご自分で読んでみてください。


岸さん、本当に、このような小説をお書きになって、良かったのでしょうか?