梅の紋きり型

「紋切り」というと、決まりきった言い回しとか、型にはまった面白みのないもの、といった意味を思い浮かべます。
実はこの意味の語源になっているのが、文字通りの「紋を抜くときの型」なんだそうです。和服の背中とか、ほかにも持ち物に紋を染め抜いたりするときの、紋の型、という意味らしいです。
そこから派生して、上記のような意味になったらしい。


その「紋」(模様)の中で、一般的なものを切り紙にした本が手もとにあります。
植物だったら、松竹梅とか椿とか桜とか、自然界でいうと波とか稲妻とか雪とか。
ナンチャッテは不器用なくせに、切り紙遊びだの、折り紙だの、折り方だの、そんなものが無性につくりたくなる瞬間が、ふっと突然訪れるのです。


このあいだ、ナンチャッテ屋をお正月から春の装いに衣替えしてきました。
前の記事でも触れましたが、ナンチャッテ屋は、一足早くお雛さんを飾りました。
そのお雛さんたちが、手捻りの土人形で、色味が全くなくて、ナンチャッテの主観的見地からいうと、「華やかさのかけらもない、地味〜な方々」なのですよ。
その方々を道沿いのウインドーに飾ったところ、飾った本人がドン引きしてしまうほど寂しい雛まつりになってしまいました。
そこで、少しでも華やかに見えるように、いろいろ考えました。
一黒い折敷の上に並べる。
二金の屏風ならぬ金の扇の前に立たせる。
三ボンボリならぬ、お手製の紙燭を立てる。
四そして、紋切りの紅梅白梅を散らす。
たったこれだけ手を加えただけで、あの地味〜な方々が、むしろ「控えめで上品なお雛様」へと確実に評価がアップ!(個人的感想です)


この前までは、
「けっ、河童雛って何よ〜?誰が買うかな〜?日本にどれだけ河童の置物収集家がいるんだろ?」
などと散々な評価だった、あの「河童雛」でさえ、なにやら格調高く由緒ありげな不思議な雰囲気を醸し出しているのです。(あくまでも個人的感想です)


「ねえねえ、な〜んか違って見えるよね」
と、妹と二人で、あまりの劇的ビフォーアフター的変貌ぶりに、言葉を失いました。
つまりは、パッケージ、見せ方、飾り方なんですね。


一〜四のカイゼンの中で、意外と大きな役割をはたしているのが、紋切りの梅です。
白とピンクという色合いもあって、一気に華やぎます。
作り方は意外と簡単です。
紙を五等分に折って梅の花ビラ風に周りを丸っぽく切り落とし、中心近くに小さく穴をあける。それを開くと、あらあら不思議、かわいらしい梅の花の出来上がりです。
内職で夜なべして、たくさん作っていったら、ナンチャッテ屋専属空間デザイナーの妹から、
「そんなにいらないよ」
と、言われてしまいました。